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縦型動画の制作で、最初にやることは「削ること」|30秒を18秒にした実例から読む

Film倶楽部 編集部 2026.10.13

縦型動画の制作を解説した制作会社のコラムは、読み比べると、だいたい同じ構成をしています。

縦型動画とは何か。メリットとデメリット。SNS別のサイズ一覧表。作り方のコツ。活用シーン。そして最後に、その会社への問い合わせ。

読み終えたあと、手元には何も残りません。自分の会社の動画をどう直せばよいのかが、書かれていないからです。

この記事は、そこを扱います。日本政府観光局(JNTO)が公開している事業の記録に、実際に作られた動画をどう直したかが、ビフォー・アフターで載っています。それを読み解きます。

出てくるのは、地方の観光団体が作った動画です。予算も人手も限られた中で作られたもので、その意味では、地方の中小企業が置かれている状況に近い題材です。

制作会社のコラムを何本読んでも、作れるようにならない理由

「冒頭3秒」に、公式の根拠は見つかりません

縦型動画の記事には、ほぼ必ず「冒頭3秒が勝負」と書かれています。

この数字の出どころを探すと、制作会社のコラムに行き当たります。そのコラムの出どころを探すと、また別のコラムに行き当たります。プラットフォーム側が「3秒」と定めた文書は、見つかりません。

間違っているという話ではありません。確かめられない数字を目標にすると、達成できたかどうかも確かめられない、という話です。

この記事では、そういう数字を使いません。

サイズ一覧表は、古くなります

「SNS別サイズ対応表」を載せている記事が多くあります。便利に見えますが、この手の数値は、プラットフォーム側の画面が変わるたびに変わります。

記事に書かれた数値が、いま正しいかどうかは、記事を読んだ人には分かりません。更新日が去年のまま止まっている記事も並んでいます。

この記事では、数値そのものは書きません。代わりに、どこを見れば最新の値が分かるかを書きます。

実例のビフォー・アフターが載っていない

いちばん大きいのがここです。

「テンポよく」「情報を詰め込みすぎない」と書いてあっても、自分の動画がテンポよくできているのか、詰め込みすぎているのかは判断できません。直す前と直した後を並べて見せてもらわないと、基準が分からないからです。

JNTOの記録には、それが載っています。

この記事が使うもの

使うもの中身
日本政府観光局(JNTO)の事業記録地域の事業者が作った縦型ショート動画を、専門の制作会社が編集し直した過程。実際の動画つきで公開されている
プラットフォームの公式ヘルプTikTokのビジネスヘルプセンターなど、運営会社自身が書いているもの
公的機関が公表している数字福井労働局が公表している雇用の統計

制作会社が自社で調べたと言っている数字や、出どころの分からない「◯秒ルール」は使いません。

縦型動画は、何が違う動画なのか

直す話に入る前に、形の確認だけしておきます。

形と長さ

JNTOは、縦型ショート動画を次のように説明しています。

> スマートフォンの向きを変えることなく縦にしたままで視聴できる縦横比9:16、動画尺約60秒以内の短尺動画です。

同じ記事の中では、「60秒以内(30秒以内が主流)」とも書かれています。

つまり、上限は60秒だが、実際に見られているのはもっと短いということです。ここが、最初の分かれ目になります。

いつから、どこで見られるようになったか

年出来事
2017年TikTokで提供が始まる
2020年Instagram(リール機能・ストーリーズ機能)で投稿・視聴できるようになる
2021年YouTube(Shorts)で投稿・視聴できるようになる

(JNTOの記事による)

10年に満たない歴史です。社内に「前からやっている人」がいないのは、当たり前です。

フォロワーがいなくても見てもらえる

これが、従来のSNSといちばん違うところです。

JNTOの記事には、こう書かれています。

> 縦型ショート動画には、アカウントのフォロワーだけでなく、非フォロワーにもリーチするアルゴリズムが組み込まれています。

かつてのSNSは、キーワードで検索するか、フォローするかしないと、見たいものにたどり着けませんでした。いまは、視聴履歴に合わせた動画が次々に流れてきます。

発注する側から見ると、「フォロワーを増やしてから」という前提が要らなくなったということです。始めたばかりのアカウントの動画が、突然たくさん見られることがあります。

横長の動画を切り抜いても、うまくいきません

すでに会社案内の動画やテレビCMがある場合、それを縦に切り抜けば済むと考えたくなります。

ここでうまくいかない理由は、画面の形ではなく、作り方の前提が違うことにあります。

比べるところ横長の動画縦型の動画
見る場面見ようと思って見る流れてきたものを見る
冒頭の役割導入続けて見るかどうかを決める場面
長さ数分あってよい短いほうが最後まで見られる
音出ている前提消えている前提で作る
画面の使い方端まで使える上下にアカウント名やボタンが重なる

最後の行が、切り抜きでいちばん困るところです。

画面のどこが隠れるかは、作る前に見に行く

縦型の画面には、動画の上にプラットフォーム側の表示が重なります。アカウント名、説明文、いいねやシェアのボタン、広告なら注釈。

ここに文字を置くと、隠れます。

数値を記事から引き写さない

各プラットフォームは、この「隠れない範囲」を公式に案内しています。ただ、画面の作りが変わるたびに、値も変わります。

この記事に数値を書いてしまうと、読んだ時点で古くなっている可能性があります。ですから、書きません。

制作に入る前に、投稿するプラットフォームの公式ヘルプで、その時点の値を確認してください。外注する場合は、この確認を制作側がやっているかを聞いてください。

聞き方

見積書や打ち合わせで、こう聞けば足ります。

「安全領域は、どこの数値を見て作っていますか」

公式ヘルプを見ていると答えるなら、問題ありません。「だいたいこのあたり」と感覚で答えるなら、そこを確認してから進めてもらってください。

実際には、真ん中に寄せると大きく外しません

原則だけ書いておきます。

文字は、画面の上下と左右の端から離して、中央寄りに置く。これだけで、たいていのプラットフォームで隠れなくなります。端まで使いたくなるのは、横長の動画を作ってきた人ほど起きやすい癖です。

実例1:30秒の動画を、18秒に削った

ここからが本題です。JNTOの事業では、地域の事業者が作った動画を、制作会社が編集し直しています。その過程が公開されています。

何を作ろうとしていたか

長野県観光機構が作った、紅葉の季節の魅力を伝える動画です。

当初の相談は、「都心から車で行けるアクセスの良さを伝えたい」というものでした。制作会社からの助言は、こうでした。

> テロップに文字情報を詰め込んでしまうと、本来伝えたい魅力が薄れてしまいます。細かい情報はすべて投稿本文での補足に回し、紅葉やりんごの「赤」というくくりで動画をまとめることをアドバイスしました。

伝えたいことを1つに絞り、それ以外は動画の外に出したということです。

アクセスの良さは、消えたわけではありません。投稿の本文に移りました。動画は「赤」だけを担当します。

30秒が18秒になった

元の動画は30秒でした。最終的に18秒になっています。4割が削られています。

何を削ったのか。記録にはこう書かれています。

> 動画では、赤のモチーフは紅葉とりんごのみ。それだけで30秒続くとユーザーも飽きてしまうため、クオリティが良くない素材、似たようなアングルの素材を抜いて短くしました。

削られたのは、質の低い素材と、似た画の2種類です。

ここが、多くの会社でできていないところ

自社で撮って自社で編集すると、撮った素材を全部使いたくなります。わざわざ時間を取って撮ったものだからです。

記録には、こうも書かれています。

> 誰に何を伝えるのか明確にし、あらかじめ設定したストーリーの軸に沿っていらない部分をそぎ落とします。縦型ショート動画は、極論ではたった2秒で再生数を稼ぐものもありますので、思い切って尺を短くする勇気が必要です。

「勇気」という言葉が使われているのは、それが難しいからです。

だから、撮影の段階で多めに撮る

削ることが前提なら、撮影の段階でやることも決まります。記録にはこうあります。

> りんご1つ撮るにも、自然光を意識し、さらに、引きで撮ったり寄りで撮ったり、また、青空をバックにしたり、りんごをもいでいるシーンを撮ってみたりとさまざまなパターンを撮影しておきます。

そして、

> 全部を使う必要はありません。

撮影段階でやることなぜ
同じ被写体を引きと寄りで撮る編集で選べる。単調にならない
背景を変えて撮る似た画を避けられる
動きのある場面を撮る止まった画だけだと持たない
天気の良い日を選ぶ「自然光のバランスがうまくいかないと暗い映像になり」と記録にある

撮る量を増やすのは、長くするためではなく、短くするためです。

自社で作るときの、いちばん現実的な直し方

いま自社で動画を作っていて、伸びていないなら、次の順番で見直してみてください。

1. 伝えたいことが2つ以上入っていないかを確認する

2. 入っているなら、1つに絞り、残りを投稿の本文に移す

3. 似たアングルの場面を抜く

4. 出来の良くない場面を抜く

5. 残った尺で成立するかを見る

新しく撮り直す前に、いまあるものを削るほうが早く終わります。

実例2:場面の順番を入れ替えた

もう1本、同じ事業の記録から。

絶景から始めるか、登る場面から始めるか

白馬村観光局が作った、山を登るハイキングの動画です。

最初に作られた動画は、1カット目が山頂から見える絶景でした。途中に、人が山を登る場面が挟まる構成です。

制作会社は、これを並べ替えました。

> 今回は山を登ってきたら、山頂に絶景が見えるというストーリーが重要です。自分も行ってみたいと共感できる構成になるよう、時系列に沿って映像の順番を整理しました。

いちばん良い画を最初に置く、という作り方をやめたということです。

「冒頭にいちばん強い画を」と矛盾するように見えますが

制作会社自身、元の構成についてこう書いています。

> 絶景から始まる動画は確かにインパクトがありますし、提出された映像も高いクオリティでした

そのうえで並べ替えています。理由は、この動画で起こしたいのが「行ってみたい」という気持ちだったからです。

絶景を先に見せると、見た人はそこで満足します。登る場面を先に見せると、その先が気になります。

冒頭に何を置くかは、「何を起こしたいか」で決まるということです。一律の正解はありません。ここが、「冒頭3秒に強い画を」とだけ書いてある記事では扱えないところです。

自社の動画に当てはめると

起こしたいこと冒頭に置くもの
行ってみたい・来てみたいそこに至る過程の入口。結果は後ろに置く
商品が欲しい使っている場面。完成形は後ろでもよい
ここで働きたい働いている人。建物や設備は後ろ
知ってほしい(認知)いちばん目を引く画を先頭に置いてよい

最後の行だけが、「強い画を先頭に」が当てはまる場合です。

テロップとナレーションは、入れないという選択がある

実例2には、もう1つ論点があります。

テロップを入れない判断

白馬村観光局からは、山登りができることをテロップとナレーションのどちらで伝えるか、という相談があったと記録されています。回答はこうでした。

> テロップは、きれいな映像の魅力を損ねてしまう場合があるため、映像の美しさを最大限に活かすならあえて入れない方がよいとお伝えしました。

テロップは、入れれば伝わるというものではありません。映像そのものが説明になっている場合、文字は邪魔になります。

ナレーションを入れない判断

同じく、

> ナレーションについても、視覚情報だけで十分に内容が伝わる場合は無理に使用する必要はありません。特に、映像の構成(ストーリー)によって意図が明確に表現できるのであれば、流行している音源を効果的に使うためにもナレーションは不要と判断しました。

ナレーションを入れると、音源が使えなくなります。どちらを取るかの判断であって、両方は入りません。

では、いつテロップを入れるのか

実例1と実例2を並べると、線が見えます。

場面扱い
映像を見れば分かることテロップを入れない
映像だけでは分からない固有名詞(地名・商品名)短く入れる
数字や条件などの細かい情報動画に入れず、投稿の本文へ
音を出さずに見る人に伝わらない言葉文字にする

3行目が、実例1の「細かい情報はすべて投稿本文での補足に回し」に当たります。

動画とキャプションは、役割を分ける。これが、両方の実例に共通しています。

音を出さずに見られている前提で作る

縦型動画は、電車の中や職場で、音を消したまま見られることがあります。

言葉でしか伝わらない情報を音声だけに載せると、その人には届きません。ナレーションを入れる場合でも、要点は文字にしておくのが安全です。

TikTokやInstagramには自動で字幕を付ける機能がありますが、固有名詞や方言は誤変換されます。自社名や商品名が変換されたまま出ていないか、投稿前に自分の目で見てください。

音源には、会社だけにかかる制約があります

JNTOの記録には、音源についてこう書かれています。

> プラットフォームにもよりますが、流行りの音源をフックに流入して、ユーザーがその動画にたどり着く場合もありますので、流行りの音源を積極的に利用することもおすすめします。

ここは、そのまま自社に当てはめないでください。

企業のアカウントでは、使える音源が別になっています

TikTokのビジネスヘルプセンターに、商用音楽ライブラリ(Commercial Music Library、CML)についての説明があります。

> 一般的な音楽ライブラリを商用利用することはできません。

(TikTok ビジネスヘルプセンター「商用音楽ライブラリについて」・最終更新 2025年7月)

そして、商用音楽ライブラリを使う必要があるものとして、次の3つが挙げられています。

対象中身
オーガニックコンテンツデュエット、リアクション、リミックスなど。広告ではない、普段の投稿を含みます
動画広告広告として配信するもの
ブランドコンテンツ企業とクリエイターが協業して出すもの

1つ目に注意してください。広告を出さない運用でも、企業のアカウントとして投稿する時点で対象に入ります。

使える棚が、別に用意されています

制約のように見えますが、代わりのものが無いわけではありません。

商用音楽ライブラリは、商用利用が許可された楽曲を集めたもので、TikTokの説明では100万曲が収録されています。あらゆるスタイル・ジャンル・地域を網羅していて、無料で商用利用できます。

つまり、企画の段階から、この棚の中で音を考えればよいということです。

なお、他のユーザーのオリジナル楽曲やライセンスのある音楽を使いたい場合について、TikTokは「自社の法務部門とご相談のうえ、適切な許可を得ていることをご確認ください」と書いています。許可を取る責任は、投稿する側にあります。

後から効いてきます

音源の問題は、投稿した時点では何も起きないことが多く、時間が経ってから出ます。

権利者の申し立てや、プラットフォーム側の検知によって、音声が消される、あるいは動画そのものが削除されます。同じ音源を使った投稿が、まとめて対象になります。

半年かけて積み上げた本数のうち、同じ数曲を使っていたものが一度に消えると、再生回数もコメントも一緒に消えます。成果が出たあとほど、痛手が大きくなります。

外注する場合に聞くこと

「音源は商用音楽ライブラリから選びますか。それとも別の方法ですか」

別の方法だと答えた場合は、許可の取得がどちらの作業で、費用はどちらが持つのかまで聞いてください。権利処理を含む見積書と、含まない見積書は、金額だけ比べても意味がありません。

撮影の前に決める2つ

実例を2つ見ると、直しの中身はどちらも「削る」と「並べ替える」でした。どちらも、先に決まっていれば起きなかったものです。

1. 誰に届けるか

JNTOの記録では、運用のポイントの中で最も優先度が高いものとして、これが挙げられています。

> まず、ユーザーがフォローしたくなるアカウントを構築するには、誰に向けた配信なのか、明確なターゲット設定が重要です。

そして、

> これを把握しないままアカウントの運用を続けている方もいらっしゃいます。この機会に今一度見直して、方向性を確認するとよいでしょう。

すでに運用している会社にも当てはまると書かれている点が重要です。

決め方は、細かくしすぎないほうが続きます。

決める粒度例
粗すぎる「福井県の人」
ちょうどよい「家の外まわりの困りごとを、誰に頼めばよいか分からずにいる人」
細かすぎる「福井市在住・40代前半・持ち家・共働き・子ども2人」

3行目まで細かくすると、企画のたびに当てはまる題材が無くなります。

2. その動画で、1つだけ伝えること

実例1では、伝えたいことが「アクセスの良さ」と「紅葉の魅力」の2つありました。1つに絞られて、動画が成立しています。

動画1本につき、伝えることは1つ。2つ目が出てきたら、それは次の動画になります。

これが決まっていると、編集で迷いません。「軸に関係しない場面は抜く」という基準が使えるようになるからです。

投稿の本文を、動画の一部として設計する

動画から外した情報は、消すのではなく、投稿の本文に移します。

動画に入れるもの本文に回すもの
見て分かること住所、営業時間、料金
気持ちが動く場面条件、注意事項
1つのメッセージ詳しい説明、リンク

動画と本文で1つの投稿です。動画だけで全部を伝えようとすると、実例1の「テロップに文字情報を詰め込む」状態になります。

投稿したあとにやること

作って出して終わりにすると、次が良くなりません。

投稿の頻度

JNTOの記録には、目安が書かれています。

> 投稿頻度はフ週2~3回以上行うのが理想です。

これは、観光の発信を続けている団体の記録にある理想の数字です。会社の体制を決めるときは、この数字から始めないでください。先に、自社が無理なく出し続けられる本数を決めます。少なめでも毎月同じ本数を出し続けるほうが、数字を見ながら直していけます。出す間隔が空きすぎると、直すきっかけが来ません。

本数を増やす方法として、記録に挙げられているもの

いきなり本数を増やすのは大変です。記録には、負担を増やさずに回数を増やす方法が書かれています。

方法中身
長い動画を分ける「長尺な動画を複数回に分けることで投稿回数を増やす方法もあります」
既存素材を作り直す「すでに投稿済みの既存素材を再編集し、流行っている音源に乗せて再投稿するのも一計でしょう」
翌日にストーリーを出す「フィード投稿をした翌日にストーリー配信を行うのも、注目度を上げるという意味では有効です」

2行目は、撮影に出られない月の助けになります。ただし、音源については前の章の制約がかかります。

投稿後に見る

記録には、こう書かれています。

> 最後がインサイトの分析です。投稿しても投稿後の分析をしない方が実は多いようですが、インサイトを分析することで、どんな種類の投稿がよく見られているのかがわかります。

「分析をしない方が実は多い」と書かれているのは、そこに差が出るからです。

見る観点は、難しくありません。

見るもの次に何をするか
どの題材がよく見られたかその題材を増やす
どこで見るのをやめられたかその手前を短くする
保存された投稿はどれか後で見返す価値があった題材を探す
コメントは誰から来ているか狙った相手に届いているかを確かめる

コメントとメッセージ

記録には、こうあります。

> ユーザーとのコミュニケーションを図ることも、プラットフォーム側に有利なアカウントと認識してもらうために重要な指標です。DM(ダイレクトメッセージ)への返信はもちろん、コメント欄への返信も基本です。

コメントが付かない場合については、

> アンケート機能を使って、ユーザーにどれが興味あるかを問いかけてみるなど、ユーザーとの定期的なコミュニケーションを図ってみましょう。

返信は、誰が、いつやるのかを決めておいてください。外注する場合は、商品や料金の質問を代行側が答えるのか、自社に回すのかを先に決めます。

見た目をそろえる

もう1つ、記録に挙げられているものがあります。

> さまざまな字体やバラバラなフォーマットが使われていると、フォロワーに魅力的なアカウントと映りません。

フォントと、テロップの位置と、色を決めて、それを使い続ける。これだけで、並んだときの印象が変わります。1本ずつ作っていると、ここがばらけます。

伸びない動画に、共通している作り方

実例2つの裏返しになりますが、直す前の状態を整理しておきます。自社の動画がどれかに当てはまるなら、そこが最初に手を付ける場所です。

1. 情報が多い

テロップに、住所も、営業時間も、料金も、キャンペーンの条件も入っている。見る人は読み切れず、結局どれも覚えていません。

実例1で最初に直されたのが、ここでした。動画には1つ、残りは投稿の本文へ。

2. 似た画が続く

同じ角度から撮った場面が3つ並んでいる。撮った本人は違う場面のつもりでも、見る人には同じ画に見えます。

実例1で抜かれたのが、これです。直し方は、抜くことです。撮り足すより早く終わります。

3. 説明から始まる

「株式会社◯◯です。今日は当社の◯◯についてご紹介します」から始まる動画。流れてくる画面では、この間に指が動きます。

会社名は最後でも、投稿の本文でも構いません。先に、見て分かるものを出してください。

4. 横長の動画を、そのまま縦に置いている

上下に黒い帯が入り、真ん中に小さく映像がある形です。画面の面積を使えていないうえ、もとの映像の端に入っていた文字は読めません。

5. 音が出ている前提になっている

ナレーションでしか伝えていない情報がある。音を消して見る人には、何も伝わりません。

6. 出したあと、見ていない

いちばん多いのがこれです。JNTOの記録にも「投稿しても投稿後の分析をしない方が実は多い」と書かれています。

1か月出してから、どれが見られたかを見る。それだけで、2か月目の企画が変わります。

まず、どれか1つだけ直す

6つ全部を一度に直そうとすると、次の投稿が止まります。今週は1つだけ。情報を減らすところから始めると、いちばん手数が少なく済みます。

1日の撮影で、何本分を撮るか

決めた本数を出し続けるには、撮影のたびに現場を止めていては回りません。まとめて撮って、分けて出す形にします。

まとめ撮りの組み立て方

実例1の「引きと寄り、背景違いで多めに撮る」を、そのまま本数に当てはめます。

手順中身
1. 題材を先に並べるその日に撮る題材を3〜5つ書き出す。1題材=1本
2. 題材ごとに軸を1つ決める伝えることを1つに絞る。2つあれば題材を分ける
3. 題材ごとに複数パターン撮る引き・寄り・背景違い・動きのある場面
4. 編集で削る使わないカットが出るのは正常。残しておく

1回の撮影で3〜5本分を撮っておけば、撮影のない週も投稿が途切れません。

撮影日を固定すると、現場が慣れます

毎回違う日に「今日撮ります」と言われると、現場は身構えます。第2・第4火曜の午前、というように固定してしまうほうが、社内の抵抗が減ります。

外注する場合も同じで、来る日が決まっているほうが、現場の準備が回ります。

撮影に出す人を、社長にしない

最初のうちは社長が出るほうが早く決まります。ただ、毎回社長が立ち会う形にすると、忙しい月に止まります。

誰が立ち会うかを決めて、その人の業務として時間を確保してください。ここが決まっていない運用は、3か月目に止まります。

ネタが尽きたときに戻る場所

2〜3か月続けると、「今月は何を撮りますか」という相談が来ます。最初の企画が一巡するためです。

枯れにくい順に並べると

題材の種類枯れやすさ中身
よくある質問枯れにくいお客様から実際に聞かれることが、そのまま1本になる
作業・工程枯れにくいふだんやっていることを、手元を寄りで撮る
商品・サービスの中身中くらい種類の数だけ本数が出る
人・スタッフ中くらい人数に上限がある
季節・イベント枯れやすい時期が来ないと撮れない
現場・施設枯れやすい場所の数で止まる

上の2つで半分以上を埋めると、続きます。季節や現場に頼ると、撮れない月が出ます。

「よくある質問」が強い理由

お客様から実際に来る質問は、検索されている言葉とほぼ同じです。そして、答えを知っているのは社内の人です。

「これ、みなさんによく聞かれるのですが」で始まる10秒の動画は、企画を考える時間がほとんど要りません。質問を20個書き出せば、それだけで2か月分になります。

反応を見て題材を寄せる

インサイトを見る話に戻ります。どの題材がよく見られたかが分かったら、次の月はその題材を増やします。

最初から当てにいく必要はありません。幅広く出して、残ったものに寄せていくほうが、早く形になります。

業種によって、撮るものが変わります

同じ「縦型動画」でも、何を撮ると成立するかは業種で変わります。目のつけどころだけ書いておきます。

業種撮ると成立しやすいもの
飲食作っている手元。仕込み。焼き・揚げ・注ぐといった動きのある瞬間
建設・工事施工の前後。重機や道具が動く場面。危ない例と安全な例の対比
小売入荷の開封。商品の使い方。サイズの比較
士業・コンサルよくある質問への回答。書類の書き方。間違えやすい点
製造工程。精度の出し方。検査の場面
採用目的働いている場面。1日の流れ。設備より人を先に出す

共通しているのは、動きがあるものです。止まった被写体を映して説明を重ねる形は、縦型では持ちません。実例1が「りんごをもいでいるシーン」を挙げているのも、同じ理由です。

自社で作るか、外に頼むか

ここまでを読んで、「自分たちでもできそうだ」と思った方と、「これは無理だ」と思った方に分かれると思います。どちらも正しい反応です。

スマートフォン1つで始められるのは、本当です

JNTOの記録には、こう書かれています。

> 日々の業務が忙しい中、動画制作と聞くと身構えてしまうと思いますが、縦型ショート動画にはスマートフォンひとつで始められる手軽さがあります。

さらに、

> SNSの世界では、高いお金をかけて作り込んだものが必ず多く再生されるというわけでもなく、親近感あふれるカメラワークで撮ったものが突然バズることがおもしろい点でもあります。

費用をかけた動画が必ず勝つわけではないと、制作会社自身が書いています。ここは、外注を検討している会社にとって重要な情報です。

難しいのは、始めることではなく続けることです

前の章で、続けられる本数を先に決めると書きました。

最初の1か月は出せます。2か月目に減ります。3か月目に止まります。担当者が通常業務を抱えたままだと、忙しい週にまず削られるのが動画だからです。

やる気ではなく、時間が確保されているかで決まります。

4つの形で比べる

形向いている場合気をつけるところ
自社で全部やる撮る対象が社内にあり、担当者の時間が業務として確保できる編集の技術と、見た目をそろえる工夫が要る。担当者が辞めると止まる
全部を外に頼む撮る対象が現場にあり、社内に時間が無い撮影に来られる回数で本数が決まる。費用は最も高くなる
素材は自社、編集と投稿は外社内で撮れる人がいて、編集の時間が無い何をどう撮るかの指示が毎回もらえる体制かを確認する
自社で全部やり、学ぶ場所を外に持つ撮る対象が社内にあり、担当者の時間は取れるが、編集や企画は覚えるところから時間の確保は自社で要る。学ぶ相手を外に置くので、一人で調べ続けずに済む

3つ目を選ぶ会社が増えています。撮影の立ち会い時間が要らないので、社内の負担が読めるためです。

ただし、「素材をお送りください」とだけ言われて、送ったものが使えず撮り直しになるという往復が起きると続きません。撮る前に、何をどう撮るかの指示が来るかどうかを、契約の前に確かめてください。

自社で全部やる場合に、外に持てるもの

4つ目は、自社で全部やる形の弱いところを補う形です。

この記事で書いてきた作業のうち、30秒を18秒に削る判断、場面の順番の入れ替え、画面のどこが隠れるかの確認は、どれも覚えれば社内でできます。スマートフォン1つで始められる、というJNTOの記録のとおりです。

止まるのは、覚えるまでの間です。削る基準が分からないまま編集を続けると、1本に何時間もかかります。会社だけにかかる音源の制約のように、知らないと投稿してから困る決まりもあります。

この部分だけを外に持てば、撮る対象を知っている社内の人が、作る手も持ち続けられます。撮り方や削り方の型は、担当者の手元に残ります。

Film倶楽部では、この形を「Buzz倶楽部」という名前で提供しています。動画教材を見放題で使えて、月に1回のオンライン勉強会で最近の変化を確かめ、日々の疑問はグループチャットで質問できます。

人を雇うという選択肢を考える場合

福井で人を1人増やすことが、どのくらいの話なのかは、数字で見ておく価値があります。

福井労働局が公表している「雇用失業情勢」によると、令和8年7月の有効求人倍率(就業地別・季節調整値)は1.69倍でした。全国は1.18倍です。同じ資料に、この水準が100か月連続で全国で最も高いという記載があります。

求人倍率が高いということは、働く人の側が選べる状態だということです。求人を出せば来る、という前提は置けません。動画が作れて、SNSの感覚があり、撮影にも出られる人となると、さらに限られます。

採用できるかどうかと、辞めたときにどうするかが、この選択肢に付いてくる問題です。どちらが楽かではなく、どちらの問題なら自社で扱えるかで決める話になります。

なお、外に頼むか社内でやるかを費用と会社に残るもので比べた記事を、別に公開しています。判断の手前で迷っている段階なら、そちらから読んでいただくほうが早いかもしれません。

外注するときに、見積書で確かめること

外に頼むと決めた場合に、比べる基準を書いておきます。

工程が分かれているか

「縦型動画制作 一式」とだけ書かれた見積書は、あとで「それは範囲外です」と言われたときに、確かめる先がありません。

工程確認すること
企画・構成何本分の企画が含まれるか。台本は出るか
撮影月に何回来るか。交通費は別か。1回あたり何時間か
編集修正は何回まで含まれるか
投稿投稿まで行うか。本文とハッシュタグは誰が書くか
分析・報告何を報告するか。報告書の見本を見せてもらえるか

「撮影の回数」と「修正の回数」の2つが、必要な金額をいちばん大きく動かします。この2つが書かれていない見積書は、比べられません。

権利の範囲

作った動画を、あとで別の用途に使いたくなることがあります。会社案内に入れる、採用の説明会で流す、広告として配信し直す。

契約書の著作権の条項に、著作権法第27条(翻案等)と第28条(二次的著作物の利用)を含めて譲渡する旨が書かれているかを確認してください。書かれていないと、これらの権利は作った側に残っていると推定されます(著作権法第61条第2項)。

作り変える権利が残っていないと、60秒の動画を15秒に切り直すといったことに、相手の確認が要ります。

出演した人の同意

社員やお客様が映る場合、書面で同意を取っているかを確かめてください。

撮影の現場で口頭の了解だけを取っていると、その人が辞めたあとに動画を使えるかが分からなくなります。使用の期間と範囲まで書いておくと、後から困りません。

素材の引き渡し

完成した動画ファイルだけを受け取ると、細かい直しができません。契約書か覚書に、次のものを書いておいてください。

「使わなかったカット」が効きます。実例1のように、撮影では多めに撮り、使うのは一部です。残りが手元にあれば、同じ撮影から別の動画を作れます。

最初の1本を、今週出す

準備を整えてから始めようとすると、始まりません。最初の1本を出すまでの手順を、短く書いておきます。

今週やること

日やること
1日目お客様からよく聞かれる質問を、20個書き出す
2日目そのうち1つを選び、答えを1文にする
3日目その場面を、スマートフォンで撮る。引きと寄りで3〜4パターン
4日目いちばん良いものを1つ選び、いらない部分を切る。文字を1つだけ入れる
5日目投稿する。細かい情報は本文に書く

1本目は、うまくできません。それでいいので出してください。出した後に見える数字が、2本目の材料になります。

完成度を上げるより、本数を出す

JNTOの記録に、こうあります。

> さまざまな動画を撮って投稿し、トライアンドエラーを繰り返す中で、どのような動画が自分たちのコンテンツに向いているのか時間をかけて見つけ出していただければうれしく思います。

1本に時間をかけて磨くより、何本か出して反応を見るほうが早く分かります。これは、費用をかけた動画が必ず勝つわけではない、という前の章の話とつながっています。

社内で見てもらう

出す前に、社内でふだんSNSをよく見ている人に見せてください。記録にも、

> おそらく社内にはプライベートで普段からSNSをよく見ている方がいると思います。彼らに配信前の動画を共有してフィードバックをもらったり

とあります。作った本人には、詰め込みすぎが見えません。

よくある質問

スマートフォンで撮った映像でも大丈夫ですか

JNTOの記録には、スマートフォン1つで撮影から編集、配信まで行えることが、この手法の魅力として書かれています。

機材よりも、光と、撮る量のほうが効きます。同じ記録に「できる限り天気の良い日を選んでください」「自然光のバランスがうまくいかないと暗い映像になり」とあります。屋内なら、窓のある部屋で、窓を背にせずに撮ってください。

何秒くらいが良いですか

JNTOは「60秒以内(30秒以内が主流)」としています。実例1では、30秒の動画が18秒になりました。

長さは、削った結果として決まります。先に秒数を決めて、そこに合わせて素材を足すと、実例1で抜かれたような「似たアングルの場面」が入ります。

横長の動画を縦に切り抜くのは、ありですか

使える場合はあります。ただし、上下にプラットフォーム側の表示が重なるので、もとの映像で端に置かれていた文字やロゴは隠れます。

そして、横長の動画は「見ようと思って見る人」向けに作られています。冒頭の作りが、流れてくる画面では持ちません。切り抜くなら、順番の入れ替えと冒頭の作り直しまでやってください。

フォロワーが少なくても意味はありますか

あります。JNTOの記録に、非フォロワーにもリーチするアルゴリズムが組み込まれている、と書かれています。

むしろ、フォロワーが少ない段階で始めても遅れを取らないのが、この形式の特徴です。

何本くらい出せばよいですか

本数から決めないでください。自社が出せる素材と時間から逆算して、続けられる本数にしてください。3か月で止まるより、少なくても続くほうが結果が出ます。

観光の団体の記録には週2〜3回以上という理想が書かれていますが、会社がそのまま目標にする数字ではありません。

トレンドの音源を使ってよいですか

企業のアカウントとして投稿する場合、TikTokでは商用音楽ライブラリの楽曲を使う必要があります。一般の楽曲ライブラリを商用利用することはできないと、TikTokのビジネスヘルプセンターに書かれています。

「個人アカウントに切り替えれば使える」という方法もありますが、それは制約を外す方法であって、楽曲を商用に使う許可が出たわけではありません。

編集は何を使えばよいですか

JNTOの記録では、スマートフォン1つで撮影から編集、配信まで行えることが挙げられています。まずはスマートフォンの標準の編集機能と、投稿するアプリに入っている編集機能で足ります。

専用のソフトが必要になるのは、複数の素材を細かく組み合わせる段階に入ってからです。1本目から道具を揃える必要はありません。

社内に詳しい人がいません

記録には、社内でふだんSNSをよく見ている人に配信前の動画を見せて意見をもらう方法が挙げられています。作る技術を持っている人ではなく、見ている人に見せるのが要点です。

見る側の感覚は、作る技術より先に必要になります。詰め込みすぎ、長すぎ、説明から始まっている、といった点は、見慣れている人ならすぐに指摘できます。

撮影を外に頼むと、現場が止まりませんか

止まる時間は、事前に決められます。撮影日と時間帯を固定し、その枠に収まる題材だけをその日に撮る形にすれば、現場の負担は読めます。

逆に、「良い場面があったら呼んでください」という進め方にすると、現場が判断を持つことになり、続きません。

効果はどのくらいで出ますか

期間を約束する提案が出ることがありますが、プラットフォームの表示はおすすめシステムが決めます。

確かなのは、出した本数と、投稿後に見直した回数が増えるほど、当たる確率が上がるということです。JNTOの記録にも「トライアンドエラーを繰り返す中で」「時間をかけて見つけ出して」と書かれています。短期で結果を約束する説明が出てきたら、その根拠を聞いてください。

まとめ:最初にやるのは、削ることです

この記事で見た2つの実例は、どちらも足すのではなく、直す話でした。

実例何をしたか
長野県観光機構伝えることを1つに絞り、細かい情報を投稿本文へ移した。質の低い素材と似たアングルを抜いて、30秒を18秒にした
白馬村観光局冒頭に置いていた絶景を後ろに回し、時系列に並べ替えた。テロップとナレーションを入れない判断をした

新しい機材も、大きな予算も出てきません。すでに撮ったものを、どう扱うかの話です。

今日からできる順番

1. いま出している動画で、伝えたいことが2つ以上入っていないかを見る

2. 入っているなら、1つに絞り、残りを投稿の本文へ移す

3. 似たアングルと、出来の良くない場面を抜く

4. 冒頭に置いた画が、その動画で起こしたいことに合っているかを見る

5. 文字が画面の端に寄っていないかを見る

ここまでは、外に頼まなくてもできます。そのうえで、時間が取れない、撮影に人を出せない、という話になったときに、外注を検討してください。

SNSの運用でお困りでしたら

Film倶楽部は、福井でSNSの内製化支援「Buzz倶楽部」と、SNSマーケティング、ショートドラマの制作を手がけています。

社内で作れるようにする形も、縦型動画の制作をお任せいただく形も、どちらもご相談いただけます。「自分たちで撮りたいが、削り方や企画の立て方が分からない」という段階なら、Buzz倶楽部の中身からご案内します。「自社で作るべきか、外に頼むべきか」の段階からでも構いません。

いま出している動画を見ていただいて、どこを直せばよいかというご相談でも結構です。

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